まき直し焙煎のコツ

2年以上前に、まき直しマジックというブログを投稿したが、未だ「まき直し焙煎」という用語は市民権を得ていないようで、グーグル検索をかけても何もヒットしない。

要するに再焙煎のことを僕がそのイメージから名付けたものであり、どう呼んでもいいのだが、やはりこの言葉が僕にはしっくりくる。
エルサルバドル巻き直し

今回この焙煎を行ったのはエルサルバドルの豆で、お客様からの注文で通常の焙煎より浅いシナモンローストに焼いたわけだが、ちょっと大量に焼きすぎて300g以上残ったため、久しぶりにやってみるか、ということで行ったのがこのプロファイル。

ElSalvador巻き直し焙煎

改めてやってみると、同じバッチ量の通常焙煎と比べて同じ火力でも火の入りが速い。

元の焙煎豆の水分量は恐らく3%かそれ以下で、狙いとしては僅かでもコーヒー豆の中に結合水が残っている間に芯まで火を入れてしまおう、という作戦。そしてその後はゆっくり目に表面だけ焦がさないようにじわっと熱していった。それでも通常焙煎よりはずっと進行が早い。

まき直し焙煎は取り合えず成功で、特にムラや焦げもなく、スモーク臭もフレンチとしては適切なレベル。まぁそれなりに美味しい深煎り焙煎豆が完成した。ただ、通常焙煎でフレンチローストにした場合に比べて、香りや味ははどうなのか、という点では検証不足である。


さて、まき直し焙煎に関して、先日こんなことがあった。

僕が時々お邪魔させて頂いている某ロースター販売所にふらりと立ち寄ったら、ちょうど店主が焙煎を開始しようとしていたので横で見物していたら、ちょっと目からうろこが落ちる話を聞いてしまった。

店主が行おうとしていた焙煎が、まさに「まき直し焙煎」であったわけだが、やっていたことは、

店頭で売れ残った焙煎豆を複数混ぜ合わせてアイスコーヒーを作る

であった。なかなか器用なお方で、豆の大きさや種類、元の焙煎度合いなどを考慮して、一部の豆は投入タイミングを変えておられた。しかし1回目のまき直し焙煎ではまだ深さが足りず、冷却後に2回目のまき直し焙煎をして、最後には綺麗なフルシティ・ロースト豆が完成

これを袋に詰めてお得意様に納品するとのことで、思わず僕が「そんなんで大丈夫ですか?」と訊いたら、昔からみんなやってるよね、とのお言葉。う~む、そうだったのか。。

まぁ、そうだよね、、廃棄したくないもんね。香りが抜けたコーヒー豆をそのまま売ってしまうよりはいいし。と思いつつもちょっと複雑な思いが駆巡ったのであった (^^;

焙煎豆の中に見つかった石

ちなみに、焙煎中に覗き窓から見ていたら小石が混じっているのを発見し、それはさすがにマズいですよね、といったら、「日本人はこういうことに細か過ぎるんだよね」とのコメント。

わぉ! なんとまぁ、おおらかな (^^;

とはいえ、焙煎後にぐるぐる回る冷却トレイの中で一応その小石を探しておられたが、なかなか見つからず、なかったことにしようとされているように見えたので、さすがにそれはと、僕がお手伝い。

まるで池の水を抜くように、珈琲豆を少しずつ別の容器に移していったら、最後の最後で発見!!

大量の珈琲豆の中で、これは簡単には見つからないよ、というサイズ。
でももしそのままミルにかけたら、きっと悲惨だよね。

欠点豆の混入した生豆
<こんな感じの生豆をそのまま焙煎機に投入されている>

ここの店主は、欠点豆のハンドピックも全くやらない主義で、ことごとく、僕がふだん皆さんに伝道している内容と真逆のことをされているのである。

ただそれで20数年間ちゃんと商売出来ている、という事実はなにを物語っているのか。

了。

 

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