煎り上手の温度プローブの位置についての検証

焙煎結果6種類

さて、煎り上手に取り付けている温度プローブの取り付け位置についてであるが、以下のような観点で取り付けてきた。

プローブの先端の位置(標準):

  1. 焙煎中のコーヒー豆に塊に潜りやすい
  2. 前面の蓋に近過ぎない(先端のパンチ穴からの熱風の影響を減らす)
  3. 底面に近過ぎない(プローブが焙煎中の攪拌を妨げない高さ、豆が下をくぐれる高さ)
このうち、1と2、及び1と3は相反する条件なので、結局その中間あたりにちょうどいい位置がある、という考えである。ということで現在、標準では以下のような位置に取り付けている。

 

  • プローブの先端は前面の蓋から2㎝離す
  • プローブの先端の高さは底面から7-8mm 

     

プローブの位置(新品)

 

しかしユーザの一人の方から、どうしても1ハゼ開始温度が高く表示される傾向がある、という連絡を受けて、以下の比較実験を行った。

  • プローブの先端の位置が標準的な位置 (Take1, Take2)
  • プローブの先端を極端に下げた場合 (Take3, Take4)
  • プローブの先端を極端に前に出した場合 (Take5, Take6)

焙煎条件は、同じ豆(ペルーの水洗式)、同じ焙煎量(70g)を使って同じ投入温度、同じ排出温度にする
というもので、各2回ずつ合計6回の焙煎を行った。ただし途中経過はある程度、自然に任せたため、プロファイルはあまり揃っていない。

また外で焙煎していたところ、Take5の途中でゲリラ豪雨前の強風が吹き出してしまい火力が暴れている。そのため、Take6だけかなり時間をおいて行っている。つまりTake6だけは連続焙煎ではなく、プローブが完全に冷えた状態で開始したわけであるが、結果として、これが安定焙煎の一つの鍵に思われる結果となっている。(ただし風が止んだせいかもしれない

テスト前の想定では、(多少攪拌を妨げてでも)プローブの先端を低くして、コーヒー豆の塊にプローブをなるべく潜らせた方が温度が実際の豆温度に近くなり温度表示も下がるのでは(?)、と考えていたが、実際はそのような結果にはならななかった。

プローブ位置テストの結果表

傾向として見えてきたのは、

  • プローブの位置が低すぎると温度が高く表示される傾向があり、結果として同じ排出温度で煎り止めした場合、浅い焙煎になる。(DT=FC開始から煎り止めまでの時間)に注目
  • 連続焙煎すると1ハゼの温度表示が高くなっていく傾向??  (要追加検証)
  • 前面蓋までの位置はそれほど気にしなくてもよさそう?? (要追加検証)
といったところである。

 

もう少し検証していく必要があるとは思うが、そもそも焙煎機よって標準的な1ハゼ温度は相当に開きがある低いものでは170度台、高いものでは200度以上という感じで、熱電対プローブの取り付け位置、豆の当たり具合、熱風のかかり具合、等に相当な影響を受ける。

僕のCR600の場合で、ET/BTで焙煎の最後の方までずっと30度ほど開きがあるが、煎り上手の場合、計測している温度は、豆温度(BT)に近いもの、熱風による影響(ET的な要素)、開口部からの空気の流入など常に影響を受けており、焙煎量が少ないために蓄熱の観点でも外的影響を受けやすいため、焙煎時の温度はかなり波打つ。

またFC開始温度が大きくずれるもう一つの要因として、FC開始の判断が難しい、ということがある。最初の数発でボタンを押すか、かなりバチバチ連続音がしてからボタンを押すかで、簡単に3-5度も変わってしまうのである。また、豆のよってハゼる音がとても小さいものもあり、ゆっくり1ハゼに突入するとさらに小さな音になるため、ますます難しい。

少し言い訳じみてくるが、結局は、焙煎は総合判断であり、焙煎ロガーの表示はコントロール焙煎のための有用なデータであっても絶対的なものではない。これはたとえ本格的な焙煎機でも、程度の問題はあっても同様だと思う。

そしてもちろん、気温・湿度、豆の水分量、焙煎機の蓄熱状態などでプロファイルは影響を受ける。

<プローブの先端を極端に下げた取付け – Take3,4>
プローブの位置(低い)

<先端を極端に前に出した取付け – Take5, 6>
プローブの位置(先端まで)

6回分の焙煎プロファイルは以下のとおりである。

<標準位置での焙煎 – Take1, 2>

プロファイループローブ位置(標準)

<プローブの先端を極端に下げた取付けでの焙煎 – Take3,4>
プロファイループローブ位置(低い)

<先端を極端に前に出した取付けでの焙煎 – Take5, 6>

プロファイループローブ位置(先端まで)

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