以前にも同じような内容(コーヒー生豆の大きさのバラツキと焙煎ムラの関係)を投稿したことがあるが、最近高品質な生豆を2種類ほど入手したので久しぶりに再検証してみた。
僕が勝手に命名したもので、焙煎塊理論という。
これは、焙煎時に適切な攪拌をし続けていれば、珈琲豆は一粒一粒として加熱されるわけではなく、珈琲豆全体を柔らかくて変形しやすい塊のように考えてもよく、この塊を加熱していく感覚で焙煎していける、というものである。
つまり塊の中に大きな粒、小さな粒、欠けた粒などが含まれていてもほぼ同じスピードで焙煎が進行していき、一部が焦げたりすることもなく、色合いも常に揃っている、ということである。
但しムラなく綺麗に焙煎される条件として、生豆の完熟度が揃っている必要がある。
未熟豆、死豆などの欠点豆が混入していたり、そもそも熟度がバラバラの品質が低い豆の場合は、どんなに巧みに焙煎したとしても同じ色には焙煎されずムラムラである。
ということで、検証その1はNordic Approachの Kenya Thimuという3000円/Kgのウォッシュトのニュークロップで、生豆の色は見事に揃っており、いかにも高品質な豆である。フレーバーを損なうような欠点豆は全く見当たらないが、写真のように欠けたり変形している豆は少し混じっている。これを意図的に全て残して焙煎してみた。
結果はこのとおり。変形豆も同じ色に焙煎されていることが見て取れる。見た目は悪くても恐らく粉に挽けば正常な形の珈琲豆と同じフレーバーを示すものと思われる。
検証その2は、海の向こうコーヒーのインドネシア・アチェ地方のいわゆるマンデリンだが、スマトラウォッシュトではなく、フリーウォッシュトの Nismara Ribang Gayoというニュークロップで、こちらもキロ当たり3000円近くのTop Specialty豆である。
グレードはもちろんG1だが、なぜかスクリーン選別はされていないようで、マンデリンらしいガタイのよい豆に混じって、かなり小さな豆が含まれている。
こちらもこれらの極小豆を残したままシティローストに焙煎してみた。
結果はご覧のとおり見事に色が揃っている。
完熟率が高い高品質豆では、小粒や多少欠けた豆があってもフレーバーの点では必ずしも取り除く必要はない、という結論である。
ちなみにバッチ量が大きいほど「ボール」が大きくなるので、全ての豆の芯まで均等に熱を加えることは大変になる。逆に小さなボールであれば、僕が編み出した「スーパーノルディック・ロースト」のような超短時間焙煎でも綺麗に熱を入れることが出来て、たとえ3分焙煎でもムラなく、グラデーションなく焙煎できてしまうのである。
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