最近Artisanという珈琲焙煎のモニターやログを取得するソフトに興味をもってマニュアルやネット情報を漁っているなかで、基本的なパラメータとしてRoR(1分間に焙煎豆の温度を何度上昇させるか?)というものに注目しだした。「コーヒーの科学」で有名な旦部幸博氏によると、どの温度帯をどれくらいの時間で通過するかで生じる化学物質に違いが出て、特に水抜き温度帯(Dry Endまで)の高温多湿の領域に長く留まると強い渋みのカフェー酸やシャープな酸味のキナ酸が増加するそうなので、ここを早く通り過ぎようと、ここのところ開始3-4分は弱火で途中から一気に強火にして、かつゆっくり回転させることで熱量を効率よく豆に伝えてなるべくRoRを大きく取っていた。RoRが大きいほど豆が大きく膨らむ、と説明している文献もあるので、「大きくな~れ」とばかりに。(^^);
以下がその例である。開始4分くらいから急上昇させており、最大で25度/分を超えている。
これでもそれなりにまとまった味は出せるのだが、もっと甘みが出したく、もしかしてRoRは小さい方がいいのかと、昨日は逆にRoRを10度くらいに抑える焙煎もしてみた。下のグラフのモカシダモの方である。比較のために並べたモカハラーと比べると、なだらかに直線的に温度上昇しているのが分かる。
ところがである。このやり方で焼いたモカシダモはいつもなら初日から強く出るモカフレーバーがほとんど出ておらず、どうやらこのやり方は間違っているらしい。もし3,4日経過しても香りが立ってこないようなら完全に失敗焙煎である。
ここでよく考えてみると、むしろ最初から強火で一気に150度くらいまで豆の温度を上げて、そこから中火に落として調整する方がよさそうな気がしてきた。明日はこのパターンで焼いてみようと思う。
ところで、焙煎再現性を安定させるための指標としてはRoRだけでは十分でなく、Artisanの説明によると他にDTR(Development Time Ratio) – 1ハゼからの経過時間を焙煎開始からの経過時間で割って100をかけたパーセンテージ、というものや、AUC(Area Under the Curve) などというものがあるらしい。AUCは1ハゼ開始温度やその先の一定温度を基準線として、その温度を超えてから経過時間による作られる面積(積分値)である。図で示すとこのようになる。実に科学的である。
以下のページより引用
https://artisan-roasterscope.blogspot.com/2016/11/area-under-curve-auc.html
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