Scott Raoが定義するナチュラルローストはエッセンスにすると以下の一文だけである。
Allways-declining ROR
これは要するに、加熱加速度(ROR)を最初はMaxで開始して、豆のDropまで常にRoRを減らし続ける、しかもなるべくなだらかに、というものであるが、実際にやってみれば、これは結構自然の摂理に反している。かなり頑張っても下記のグラフのように、普通は1ハゼ開始からしばらくして急にRORが下がるクラッシュ、そしてそのリバウンドのフリックが続く。(RORのカーブは青いライン)
以下はスコットラオの説明の一部である。
そして焙煎の初期段階では、Inner/Outer bean のΔTは50℃かそれ以上あると推測される。
限界まで行くと1ハゼを起こし水蒸気とCO2を放出し、一時的に気化熱が豆の表面から熱を奪うためにクラッシュが起きて、水蒸気の放出が終わると今度は反転して豆中心部の温度が一気に上昇するフリックが発生する。
ということである。
さてこれを防ぐ方法はいろいろ書いてあるが、一番の基本はDry End以降は火力を少しずつ下げていき、水蒸気を徐々に放出させながら豆の外部・内部の温度差を小さくしていき、静かにFC開始に入ること、だと理解した。ただしだからといって、だらだらとメイラードフェーズを引っ張るとRORがフラットやマイナスに近くなり、(メラノイジンの重合が進み)甘さがなくなるそうだから厄介である。
まるでロケットが地球に帰還するときのように、FCには正しいアングルで入る必要がある、ということである。するとクラッシュはほとんど起きず、ゆえにリバウンドも起きにくくなる。
以下は僕が焙煎したかなり完成度の高いナチュラルローストの例である。
ところで僕は、ナチュラルローストが成り立つのはハイローストくらいまでだと想定している。
というのは、DTRという考えがあり、1ハゼ開始以降のデベロップメント・フェーズを引っ張り過ぎるとやはり甘さが消える、とされているが、RORをどんどんと小さくしていくと、例えば豆温度で200℃で1ハゼが来たものを、225℃まで上げたいと思ったら、異常に長いデベロップメント・フェーズになってしまうからである。
そもそも深煎りのロースト臭を楽しむのであれば、こんな理論はナンセンスで、まぁせいぜい、珈琲豆を炭化させないように均等にじわじわ熱を入れて焼いていく、というくらいの割と単純な理論でどうにかなるようにも思われる。
確かオオヤミノルさんの本で見たような気がするが、世の中には、「一本焼き」と称して、最初から最後まで同じ火力で一気に焼いてしまう人もいるそうである。きっと深煎りだから成り立つ世界だ。
この場合1ハゼ以降、発熱フェーズに入ったらバチバチと元気よく暴走気味に焙煎が進むので、煎り止めタイミングは相当にシビアになるだろう。
それはそうと、ちょっと検証してみたいことがある。
・焙煎開始時にどんなに強い火力で熱しても、攪拌している限り豆の表面が焦げることはない。
煎り上手ならこういう検証も簡単である。早速明日あたりやってみたいと思う。
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