現在、余命僅かの実父の介護のため実家に滞在しており、当面その状況が断続的に継続する予定である。ということで現在、手元にある焙煎機は持ち込んだ「煎り上手」と Sandbox Smart Roasterのみ。もちろん珈琲器具、生豆の種類も限られているが、出来ることが少ない分、返って集中できることもあるかとポジティブに考えたいが、さて。
本日はSandboxを使って、コロンビア・ボルカニックという水洗式の豆を中深煎りに焙煎しようとした。ところが、プロファイルをいじり過ぎたからか、投入温度は十分に高かったのに、最初あまり温度が上がらず、途中で仕方なしに火力を少し上げたが最後までペースに乗れず、結果的に非常にだらだらとした焙煎になってしまった。具体的には以下のプロファイルを見て頂きたい。これは酷いね。
早速これを試飲してみたら、予想どおり見事な Baked フレーバーとなっていた。
そもそも焙煎豆を見ると、Scorched豆がパラパラと混じっている。
Scorched豆を取り除いたら一見、綺麗なハイローストだが、焙煎豆の香りを嗅ぐだけでもBakedフレーバーが出ていることがはっきりとわかる。
ここで、折角なので Bakedの要因について少し考察してみたい。
下記はUCCの焙煎セミナーで教えている焙煎欠点の一部であり、これが一般的な解釈であると思われる。上記の写真を改めて見ると表面が焦げており、下記の定義の中では Facedに相当するか。
一方、Scorchedの要因を見ると、「投入温度が高過ぎる」となっているが、これも当たらない。210℃での投入はごく普通で、通常はこれで焦げることはない。
そもそもRoRが最初から10度程度しかなく、そこから徐々に火力が下がっていったので、普通に考えたら焦げるはずはない。豆の排出時の温度も198℃とかなり低い。むしろ普通なら生焼けの温度であるが、20分という長時間焙煎によりしっかり bakeされて、実は豆を取り出す瞬間には2ハゼすら起きていた。
このことから考えられることは、豆全体の塊としての平均温度は低くても、一部の豆の表面は焙煎ドラムの接触温度に近くなっており、それが2ハゼを起こす220℃を超えていた、ということであろう。また焦げた理由は、いわゆる低温火傷と考えると分かり易い。
そしてこの場合、抽出したコーヒーのフレーバーは、とてもスモーキーでロースト臭の強いものになる。Scott Rao的には最もやってはいけない焙煎ということになるが、世の中にはこのような味を好む人も少なからずいるようなので、まったく珈琲焙煎は奥が深い。
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