先日のブログに書いたとおり、僕が通常、13分程度で焙煎しているブルンジの水洗式の生豆を、3つの焙煎フェーズのバランスとDrop温度をなるべく揃えたまま8分に縮小して焙煎するテストをやった。こちらは少し無理があったのか、数日経ってから飲んでみてもやはり芯残りが感じられて、特に冷めてくるとだんだん飲むのが辛くなってくるエグ味のようなものがある。
一方で、短時間焙煎で有名なノルディック・ローストという分野がある。Scott RaoのCoffee Roasting Best Practiceを読んでいたら下記の説明があったので、同じブルンジの生豆を題材に早速やってみた。
Many roasters from the Nordic countries prefer to roast batches lighly and quickly, with relatively high, flat RORs that crash gently just before discharge of the beans.
彼は、RoRの曲線、つまり温度上昇率が急に下がる(Crashする)と香りが飛んで段ボール紙のようなフレーバー(baked flavor)になると言って嫌っているが、Nordic roastだけは例外で、RoRの値をずっと高いままキープして短時間で焙煎し、最後に軽くクラッシュさせて直ぐにDropする、と説明している。
ということで、いつものように煎り上手を使って、RoRを20程度に保つことを目標に6分16秒という短時間で焙煎してみた。プロファイルはこのような曲線になった。予定どおりRoRを高くキープできている。
粉に挽くとこんな感じ。比較のため先日の8分短縮ローストの豆と同時にペーパードリップで淹れて試飲してみた。色的には微かにノルディックの方が浅いように見えるが、焙煎指数はほぼ同じである。
焙煎直後から良い香りがして期待できるものであったが、これを翌日、2日目と試飲してみたところ、確かに心地よい柑橘系の酸味がでている。明らかに先回の8分ローストと異なり、かなりの浅煎りであるが、最後まで美味しく飲めることが確認できた。
参考までに 8分短縮ローストを2回分、13分の通常ローストのプロファイルも載せておく。
さて、自分ではそう感じても、やはり思い込みが混じってはいけないので、この4種類の豆を僕の焙煎仲間の一人に送ってブラインドカッピングして頂くことにした。
見た目ではまず判別不能である。彼がカッピングで見事ノルディックローストの豆を正解してくれれば、Scott Raoの理論の正しさが、少し裏付けが出来る。彼は、コーヒーのフレーバーはトータルの焙煎時間よりもRoRのカーブで大きく変わる、と主張している。結果が楽しみである。
なお、ノルディック・ローストに関しては2年近く前にもブログに書いており、読み返してみると、偶然にもこの時にもブルンジ産の豆を使っていたことに気が付いた。
<追記:3/14 23:21>
夜ちょっと思い立って、温存していたエチオピア・ゲシャ・ウォッシュトG1をノルディックローストにしてみた。この豆は普通に浅めに焙煎すると、期待ほど明白なゲイシャフレーバーは発せず、なんとなくそのまま1年ほど寝かせておいたものであるが、さてノルディックローストでよみがえるか! プロファイルはこんな感じである。
粒揃いなせいか、1ハゼが一斉に元気よく起きる豆で、その分、気化熱が奪われるのか、頑張ってRoRを20くらいに高く保とうとしたが、最後で少し下がってしまった。その結果、焙煎時間はトータルで7分41秒となった。
1ハゼ開始から1分10秒で煎り止めたので、通常よりはやはりノルディック・ロースト寄りの焙煎になったと思う。さて実際に薫り高く焙煎出来ているかは明日のお楽しみ。
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