パーストクロップの浅煎りは有効か?

ノルディックローストだけでなく、3rd Wave Coffeeの店と言えば押しなべて浅めの焙煎を全面押ししているところが多いが、実際のところ浅煎りでも美味しく仕上がる豆とそうでない豆があり、むしろそうでない豆の方がずっと多い。
また、元は素性の良い豆であっても精製から時間が経つにつれて、浅煎りに向かなくなる傾向はあると思う。実際、浅煎りや中浅煎りで美味しい豆は大抵、生豆の時に緑色が濃い。但し、緑が濃くても浅煎りに向かない豆も多いのは前述のとおり。この場合は無理に浅煎りにすると生焼けで草っぽいフレーバーになったり、やたらと酸味が強くて飲みづらい味になったりするので、煎り上手を使ったごく少量のサンプルロースト確認が欠かせない。
昨日は精製から2年ほど経ったホンジュラスの豆を、浅煎りにしたものと、中煎りに仕上げたものの2種類を作って味わってみた。結果は、浅煎りの方は草っぽさの奥に良質な酸味が感じられるが今一つ、中煎りの方は枯れた味わいが全面に出てしまい雑味も出ていて今二つ、という具合であった。
ホンジュラス2年物浅煎り

以前、某有名店でマンデリンのオールドクロップ豆のネルドリップ・デミタスを注文したところ、酸味が強烈過ぎてちょっと飲むのが辛かった。一緒に飲んだ珈琲通のK氏も同じ感想だったので、一般的にはほとんどの人が「酸っぱ過ぎる!」と感じると思われる。パーストクロップやオールドクロップの豆でも浅煎りが可能なケースはあるのだろうが、やはり全般的には、良質な(密度の濃い)ニュークロップ + (中)浅煎り、というのが、一般受けするシトラス系とかジューシー感のある珈琲を作るための公式ということなのだろう。
ちなみに、水洗いした珈琲を浅煎りに仕上げるのは結構至難の業である。ダブル焙煎にすれば可能だが、この手法も大いにフレーバーを変えてしまうので元とは簡単に比較できないのが困った点である。
そこで、いずれ試したい実験として、精米機を使って生豆のチャフを外すことで、通常は水洗いで行う「大吟醸コーヒー」のようなものが作れるのか? というものがある。通常は生豆をゴシゴシ洗って「吟醸化」するわけだが、どうしても水分を吸収してしまい、少なくとも焙煎後の見た目はかなり違うものになってしまう。しかし精米機ならこの心配はなく、心置きなくフレーバーの違いが確認できるのではないか、という目論見である。つまり、以下の2パターンを同じ焙煎度に仕上げて味比べする、という作戦である。
A) チャフが付いたまま、チャフ除去装置のない手廻しロースターで、チャフごと焙煎した豆
B) 精米機でチャフを外して、余分な微粉も飛ばした綺麗な豆を手廻しロースターで焙煎した豆

精米機は、例えばこんなものが8000円ほどで売っているが、実際珈琲豆にはどれくらい使えるのであろうか。

精米機8000円

<後日談>
今回のホンジュラスを昨晩いつものように 55g / 800cc水で Cold Brew Coffeeを作ってみたら、妻に「美味しい」と絶賛されたので自分でも飲んでみたら確かに美味しい。ただし、配分は同じホンジュラスでも40gが中煎り、15gが浅煎りの豆でブレンドした。ホット向き、コールド向きで焙煎の仕方はやはり異なるようで、この辺のコントロールの勉強がこれからの自分の課題だなぁ。

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