コーヒー生豆の格付け基準にスクリーンサイズが含まれていない国、特にグアテマラやエチオピアなどの生豆では、やたらと大きな豆や逆に非常に小さな豆が含まれており、直感的に、
(1) 大きな豆は火が入りにくい
(2) 小さな豆は焦げやすい
と考えてしまうのではないだろうか。
さて、今回は(2)の検証に丁度良いサンプルを見つけたので、ここに紹介してみたい。
焙煎したのはエチオピア・ハルスケ・ナチュラルという豆で、焙煎後に冷却器で冷ましていたら、金網をすり抜けてチャフ受け脱落していたものを拾い上げたものである。まずはこの写真を見て頂きたい。
注目はもちろん真ん中の小さな豆である。全く焦げておらず、周りの大きな豆と同じ色合いに仕上がっている。アップにするとこんな感じ。
裏返して観察しても、まぁ同じ焙煎度といえる色合いである。
つまりこんなに大きさに差があっても、
焙煎中の攪拌がちゃんとされている限り、一つだけ先に焙煎が進んで焦げてしまう、なんてことはない、ということである。
焙煎中のコーヒー豆は加熱により塊として蓄熱していく。最初は吸熱し続け、1ハゼが始まった辺りから発熱反応に代わるため、後半は加熱を止めてもなかなか温度上昇スピードが落ちない。
この時のコーヒー豆の一つ一つは、塊の中に埋没している限り、大きさに関らず同じ温度にあると考えられる。そのために、このように小さな豆が混じっていても、同じ速度で焙煎が進むということだろう。もし焦げたとすれば、それは攪拌が足りなかったか、焙煎器のどこかに引っかかって、一つだけ塊から外れていた可能性が高い。
あるいはある種の欠点豆だけ焦げやすい可能性もあるが、それについてはまだよく分かっていない。
逆に色づきが悪いのは、「他の豆に比べて大きくて火が入りにくかったから」ではなく、未成熟で少糖類の含有量が少なくてメイラード反応が弱かったと考えるべきである。焙煎前にどんなに丁寧にハンドピックしても微妙な未成熟豆は見分けられないが、焙煎後は下記の写真のように容易に判別できる。
また、極端に大きな豆は変な発酵をしていたり、虫食いや貝殻豆予備軍(?)といった欠点豆であることも多く、結果的に取り除いてしまうかもしれないが、良豆である限り、大きいからといって一つだけ火が入るのが遅く浅くなる、といったことも同様にあり得ないと考えている。
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