煎り上手の焙煎は、ガスコンロの上に直接かざすよりも、間に網を置いた方がずっと使い勝手がよくなるが、どんな網が適しているかという課題がある。網を使うことのメリットは以下の3つである。
- 熱源が面状になり、均一に火を当てやすい。
- 網自体も熱容量があり、煎り上手を網に押し付けることで伝導熱を積極的に使える。
- 煎り上手を網の上に置いて休める
網の種類としては、普通の焼き網か、セラミックがついた餅網のようなものに2分されるが、前者は煎り上手に直接火が当たるのに対して、後者は間接的になり、まるで高級焙煎機で使われる二重ドラムのような恰好になる。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおり。
- 焼き網:加熱の加速度がよく一気に温度を上げれるが、RORがピーキーな動きになりやすい。
- もち網:安定した温度上昇が可能だが、失速気味のときに一気に過熱しようと思っても出来ない
ちなみに、百均の網は針金が細くて、10回程度使うと既に金網が崩壊して使い物にならなくなる。やはり金物屋で購入したい。僕が今回見つけたのは、ホルモン焼き網というもので、如何にもガッチリと太い針金で作られている。一方、セラミック網は最初、近所のスーパーSANWAの500円のものを買ったら7,8回の使用で金属が崩壊してきたので、カインズホームで買い直し。こちらは300円程度と安い。
今回は、セラミック網の加熱力の弱さを補うために、真ん中にドリルで7,8個の穴を開けて直火が少しでも通るようにしてみた。
さて、これらを使って、セラミック網で3回、ホルモン網で2回焙煎してみた。
Artisanのプロファイルは下記のようになったが、正直、5回目の焙煎は油断していてちょっと失敗気味。よそ見している間に一気に過熱し過ぎて慌てて火から遠ざけて強引にリカバリした形。まぁ、それでも結果的にはトータルのバランスはさほど悪くないところが、Artisanのパワーである。
まず、セラミック網+煎り上手での焙煎3連発。東チモールだけはインドネシアに近いのでフルシティにしてみたが、その他はハイローストに仕上げた。最初の水抜きフェーズ(緑)がどうしても長くなりがちであるが、その後は徐々に加速してトータルでは悪くない。特にDTRという指標を見ると、Scott Raoが理想とする、20-25%に容易に収めることが出来る。
次は、煎り上手に直火が当たるホルモン網での2連発、4回目、5回目。
どうしてもRORのライン(青)が暴れやすいが、焙煎をコントロールする楽しさはより大きい。
5回目は前述したように、よそ見のせいで、中点温度が140℃もあり、リカバリのために、RORを一度ゼロにして故意に失速させている。その後は通常っぽいラインに乗せて、DTRは理想範囲の24.6%。
5つの焙煎の焼き上がりはこんな感じ。
今回の豆はどれも今回初めてサンプルで取り寄せたもので、明日以降飲むのが楽しみである。
ちなみに、雲南省のトリプルファーメンテーションという珍品も入っており、これは昨年のSCAJで入手したものである。生豆は見た目が結構汚く、欠点豆が区別できないほどで、匂いもかなり強烈。完熟果実のような発酵臭がプンプンする。しかし焙煎すると意外にも均一な色合いに焼き上がり、穏やかな香りになっている。不思議な豆である。
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